足の疲れなど何処へやら、思わず駆け出した世界はあまりに綺麗すぎた。

時期外れに華を咲かした木々たちのまわりに、華麗に群がる群青の光

その眩いばかりの光は、頬を撫ぜる距離まで来たかと思いきや、すぐさま踵を返し泉のふもとへと逃げ帰る

 

 

「ハグリッド、これは──────?」

 

「あぁ、ナナイロヒカリ って言ってな。この一帯にだけ生息する珍しい虫だ────── 

 さて、わしはもう少し奥で例の薬草をとってくるから、おめぇらはここらで腰掛けて待ってんだぞ。」

 

それじゃ僕等への罰則にならないんじゃ と 頭を過ったが、余計な事は言うまいと口を塞いだ。

ずんずんと壮大な音を立てながら進んで行く友人の背中を見送りつつ、ぼそりと小さく呟いた。

無論彼女に聞こえるであろうことも予想の範囲で。

 

 

「ナナイロヒカリ、ね…。どこぞの成金おぼっちゃまを思い出すような名前だ。」

 

 

後ろで僅かにハーマイオニーの笑う声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ハリー、その…本当にごめんなさい…。」

 

「…君が謝るようなことじゃないよ。」

 

 

右手から離れ、ポチャン と泉に投げた石が音を立てて沈んでいった。

其れが姿を消した場所を中心とし、ゆらゆらと波紋が薄く広がり、静かに姿を消した。

 

妙な気まずさに眉を顰め、彼女が口を開かぬ其の理由を探るべきかと悩んでいた矢先の事

なんとなく予想はしてたものの、あまりに見当違いの謝罪につい溜息が漏れた。

其れをどう捕らえたのか。隣に座る彼女の方が小さく揺れた。

 

俯き加減の顔から表情は読み取れなかったが。

 

 

「君がやらなきゃ僕がやってたんだからさ。

 …それに、ハーマイオニーは僕の事で怒ってくれたんだろう?それだったら寧ろ感謝しなきゃ。」

 

「ハリー…其れを言うなら私のほうよ。貴方も私の事でマルフォイに怒ってくれたじゃない?

 とても…嬉しかったわ。本当に有難う」

 

「こちらこそ。 …けど、あれだけ吹き飛ばせば爽快だったろう?」

 

「もう、ハリーったら!!」

 

 

御互いに顔を見合わせ、肩を震わせた。

ようやく上がった彼女の顔に安堵しつつ、また昔に戻ったかのような感覚に思わず顔が緩んだ

二人だけの時に現れるようになった気まずさ 其れは既に身を潜め、この瞬間に飾りで無い心地良さを覚えた。

 

その変わりに、胸のあたりがじんじんと、熱い。

今はその熱の名を知らず、只訝しげに首を傾げるだけだったけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

手当たり次第に投げたせいで、来た時には随分とあったように思えた石達が今は見当たらない。

それが時間の経過の程を表しており、口からも待ち人の帰還を望む言葉が出始めた頃

がさがさと音を立てて表れた大きなシルエット。待ち人来たり と確認すると、ぐっと足に力を入れ立ち上がる。

 

 

「さ…、行こうか。帰りはちょっとは楽だといいけど。」

「大丈夫よ、今はとても気分が良いもの!!」

 

 

二度目となるぎゅっと握ったその手の暖かさ それに伴い、また胸がじんじんと熱くなる。

その熱がやけに嬉しく、笑顔が自然と零れてくるのを感じた。

再び前方を、今度は来た道を辿るように突き進む友人に聞こえないようにこっそりと繋いだ手の主に囁いた。

 

 

 

 

 

 

たまには、こんな御仕置きも良いかもね。

 

 

 

 

 

 

 

真っ暗な帰り道、笑いながら歩んだその道は彼女の言った通り随分と短く感じた

そしてこの胸を焦がす熱の名を知る事になったのは、また別の話──────────────

 

END

 


 

 

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3333HITのリク「ドラコ、スネイプ先生登場のほのぼのハリハー」です。

なんとリクから二ヶ月も過ぎてしまって…!!本当に鈍間で申し訳ありません…!!

更に言えばドラコは悪役、先生は名前だけという非常にリクに沿わない内容で…。

管理人としては、精一杯ほのぼのに仕上げたつもりでございます(^^;)

こんなもので良ければ貰ってやってくださいませ…!!

それでは、本当に遅くなってしまいましたが、3333HIT有難う御座いました!

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