少し長くなりすぎた前髪を、右手で少し摘み上げる。
行為の意味を自身に告げた所で何が変わる訳でもないが、何故か零れる補足説明。
勿論隣に居る友人から答えが返ってくる訳もなく、期待してた訳もなく。
「・・・なんでこんな寒い日に、わざわざ出るかなぁ・・・」
「それが男のロマンってもんさ!」
真冬の夜の冷風に、体は既に芯まで冷えて
こすり合わせた手すら最早感覚など皆無に等しい。
唯一の救いといえば、彼女が随分と厚着をしてきてくれた事。
なんとか小言は避けれそうだ、等と思った矢先の出来事に。
「だから言ったじゃない。天体観測を甘く見ちゃいけないわ って。」
「そしてやっぱり、君は口を開けばすぐ小言。」
「・・・その小言を聞いていればこんな寒い思いしなくて済んだんだけど、ね。」
もはや見慣れた日常茶飯事。
寒さで体を震わせながらも、何さ 何よ と立ち上がり、ジロリと睨むその姿。
止めるべきか否か悩んだが、眠いし寒いしやる気無し。
それこそ先ほど述べた手の感覚程、皆無。
わざとらしくもため息を零し、ふるふると揺れる指先で望遠鏡へと触れる。
現在地の名はホグワーツ野外展望台。
幾年一度か現れる、小難しい名を持つ流星群
名すら呼べない其れの為、寒空夜空にこの人数
「・・・若いっていいねぇ。」
「・・・君はこの何年かで、随分老けたねハリー。」
「そりゃぁ、どうも。」
金属部分に触れると、あまりの冷たさに身が強張る。
そっとグラスの部分に、眼鏡を外し目をあてがう。
然し一向に兆しは見えず、大きなため息と共に眼鏡を戻す。
「・・・いやいや、見事な眺めで。」
「ハリー、それは誘った僕に対する嫌味だろう?」
「そもそも、なんで流星群を見るのに望遠鏡がいるの?肉眼で十分でしょう。」
再び、睨みの対立。
延々と続くかと思われた意味無き雑談、然しその矢先。
「・・・あ!!」
強い風が過ぎ去ると同時に、ロンの大声があたりに響く
慌てて降ろした腰を上げ、すぐさま空を見上げて姿を探す。
「ロン、見えたの!?何処!?」
彼女も同じくして夜空を見渡す
然し僕らの頭上に光は無く
「・・・捲れた。」
彼の指す指の先、そこには
可愛らしいスカートを纏う、女子生徒達の団体。
一呼吸置いた後、張り上げられた声によって集まった周りの生徒が一気にどっと笑い出す。
夜空に響く観衆の声に気を良くし、ロンが照れくさそうに手を上げたその時。
「・・・最ッ低ッ!!!」
彼女の拳、流星より速し。
「・・・見事な、眺めで。」
男気溢れる友人二人に、惜しまんばかりの拍手をば。
星は見えなかったけど、彼は男のロマンを見つけたようで。
僕も見たかったな 等と呟けば、間違う事無く殴られるので口を閉ず。
***
ちょっと書きたくなったお馬鹿な話(笑)
三人組が大好きですv